ブロック塗装。ボカシ塗装。塗装のあれこれ。
解説!
今回はキズの箇所と色によって塗装範囲が異なると言うお話をしたいと思います。業界人がお客さんへの何気ない説明で頻繁に使っている言葉です。
言葉の意味でなんとなくわかるけど、なぜその塗装なのかがよくわからない。お客さんは『そうなんですか。』となってしまう。
そこで今回は詳しく説明しようとすればするほど出て来るワード『ブロック塗装』『ボカシ塗装』について解説します!
まず初めにこれをご覧ください。
私の書いた渾身の絵です笑 絵は何となくわかりますが、文字が汚いものはハズキルーぺつけても読めませんので、同じ事を活字に起こしていきます。
一つずつ拡大して何とか使えるようにします。その前に前提として色付けの意味はこちらです。
ブロック塗装
運転席フロントドア後部に2本の線傷があったとします。色は混じりっ気なしのまっ黒、まっ黒なので調色はいりません。どの角度から見ても色の違いはありません。こう言う場合はパネル1枚塗った上にクリヤーを塗装します。白色の車もボカシ塗装は必要ありません。
ブロック塗装(ベースボカシ)
次はブロック塗装のベースはボカシバージョンです。我々は普段『この車はメタリック(←ベースの色の事)なので今回は隣のパネルまでボカシます。』と説明します。後述するボカシ塗装と、言ってる言葉が同じなのでお客さんは訳が分からなくなるでしょう。
で。
ここで疑問です。メタリックでもブロック塗装してよ!傷は小さいのに傷のないドアまで塗るなんて無駄な作業して!と、ふに落ちなくなります。では実際にご覧ください。ブロック塗装をしたメタリックを↓
すみません。このお車は他店様によってドア1枚をメタリック塗装されたか、もしくはオーナーさんの予算の都合で塗装せずに中古のパネルを交換しただけのものになります。どちらにせよ。運転席のドアまでボカシていない車となります。
ここまではっきり差がでるケースは稀ですが、極端な例だとこうなります。このような事態を避ける為に色をドアの端まで塗る場合は隣接するドアにも色をボカシて行くのです。
これはメタリック色は調色で色を合わせる際に正面だけでなく斜めからの色具合(スカシという)も大事になってくる為です。そしてこのスカシは色の調合だけでなく塗装者の塗り方によっても大きく変わります。
スカシの色って何で変わるの?と言うと、メタリックというのはつまりはアルミの粉。このアルミの粉が顕微鏡とかで拡大したレベルで塗装の表面に寝ている状態か立っている状態かで反射の率が変わるのです。それは気温湿度やガン捌きのスピード、選定のシンナーなど左右される要素は多く、再現はハードルが高いものとなりますから、そう言った色はボカシてなだらかに変化をつけた方が分かりづらいと言うことになるのです。
ボカシ塗装(ベースもクリヤーもボカシ)
最後に色だけではなく一番上のクリヤーもボカシと言う方法があります。
これは城鈑金では境目が狭い範囲限定です。YouTubeなどを見ていると他店様はドアの真ん中でも、キャラクターライン(車のデザインの為の線のこと)を境にしてクリヤーをボカシているところがあります。こういった違いで鈑金塗装屋の考え方が現れます。
クリヤーのボカシを狭い範囲にしたい理由一つ目は、境目はよく見ると『わかる』からです。
わかると言っても納める時はボカシ剤と言うのも高性能なのできちんとした技術で塗装すれば私も光を当てながら目を凝らしてよく見ないと境目はわかりません。‥ですが!
そしてここから次の理由につながっていきます。
二つ目の理由は塗料についてのブログでも書きましたが、補修塗料と新車メーカーの塗料は使っている塗料が違い、後になって塗装した年月の違いも相まって劣化の進行スピードも違います。その結果、年数が経てばその境目が判るようになってくるのです。永くは乗らないであろう低年式の車なら問題ありませんが新しい車なら気になるところです。
城鈑金ではなるべくブロック単位で塗装する事をしていますが、小さな傷でいちいちブロック塗装していては今度は面積が増えた分ホコリの付着リスクも増してしまいますので、総合的に判断して境目が狭い範囲でクリヤーのボカシ塗装を行なっています。
まとめ
解説していて改めて塗装は奥が深いなと思いました。私達も説明はわかりやすくを、心がけていますがもし、分からない用語が出てきたら『そうなんですか。』ではなく『それってどう言う事ですか?』とスッキリするまで聞いて貰えると嬉しいです。